長引く景気低迷や度重なる災害等に苦慮している今の日本は、第二次世界大戦以来の危機であるといっても過言ではない。
にもかかわらず、国や地方は財政が極端に悪化し、苦しんでいる国民を公金等ですべて助けられる状況にはない。
　この時代だからこそ、日本民族は、古来有する共助精神を蘇らせ、「新しい公共」による社会システムを再構築する必要があろう。元来ボランティアとは志願兵という意味である。いまこそ公助に加えて、すべての国民が国難に立ち向かう志願兵となることを期待したい。
　そのために国民は、これまでの「富の再分配」の原則を封じて、しばらくは「負債の分担」及び「リスクの分散」の意識を共有せざるを得ないのではないだろうか。
　さらに、阪神淡路大震災や日本海重油流出事故におけるボランティアの活躍からNPO法人制度が生まれたように、「新しい公共」の成熟には、持続可能なボランティア活動をサポートするボランティアの存在が重要になってくる。
　貴団体が、「新しい公共」の旗手のひとつになることを大いに期待する。

順天堂大学　客員教授
鈴木　知幸